日本の安倍晋三首相は、インドネシアで行われたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の非公式閣僚会議に出席する前に、消費税率の引き上げを発表した。来年4月1日から現行の税率5%を8%に引き上げるというもので、1997年以来の引き上げとなる。今みるところでは、引き上げ措置は復興の兆しが見え始めた日本経済に大きなマイナス影響を与える可能性がある。だが影響があることは明々白々だが、日本政府は引き上げ方針を堅持しなくてはならない。
その背後にある論理には深く考えさせられるる点がある。思うに、日本の消費税率引き上げは、フランスで失敗した政策の繰り返しであり、フランスを上回るマイナス影響が生じる可能性がある。(文:王勇・中国人民銀行鄭州培訓学院教授。証券時報掲載)
安倍首相は昨年12月の就任後、ただちに「アベノミクス」といわれる急進的な経済活性化策をうち出した。アベノミクスはデフレ環境下の活性化政策の需要には合致するが、歴史的事実から明らかなように、長期的な経済拡張政策の限界効用は減少するもので、活性化の取り組みが長期化すればするほど効用は少なくなる。日本は20年以上にわたり経済活性化策を実施してきたが、経済の年平均成長率は1.1%にとどまった。
さらに深刻なことは、長期的な経済活性化策は、日本経済の今後の発展に巨額の財政赤字と膨大な債務負担という負の遺産をもたらしたことだ。2008年の金融危機発生後、日本の経済活性化プランにおける支出は75兆円に達し、国内総生産(GDP)の約5%を占めた。
このため政府は国債を大規模に発行せざるを得なくなった。日本の財務省が発表した最新のデータによると、日本の国債発行残高はこのほど初めて1千兆円(約10兆ドル)を突破し、GDPの2倍以上になった。債務の対GDP比は先進国のトップで、ギリシャ、イタリア、スペインといった債務危機が深刻な国よりも高い割合となった。ある機関の推計によると、今年末には日本の債務規模は1100兆円(約11兆ドル)に達し、GDPの2.5倍に増加するという。