米国の予算問題が一時棚上げされた事はまた、財政の不確定性が引き続き存在する事を意味する。その結果、米連邦準備制度理事会(FRB)は、量的緩和(QE)から脱却するにあたって、より一層の慎重な姿勢が求められ、QE縮小は更に後ずれするとの観測が高まる。このこともまた、リスク選好のムードが高まることにプラスに働く。
市場のリスク選好ムードが好転した事は、資金が再びリスク資産への投資に向かい、新興国市場の通貨の切り下げ圧力が緩和され、強いては切り上げ圧力となる可能性もあることを意味する。オンショア市場の人民元対米ドルのスポットレートは4取引日連続で高水準を更新し、資金の動きをはっきり示している。「リスクオン」状態の市場環境と米ドルの上昇傾向の限界を合わせて考えると、人民元は短期的に上昇圧力にさらされる可能性がある。
今後人民元の上昇をもたらす要因は2つ。1つは、リスクを選好する動きが続く市場に、短期的な国際資本が大量に流入すること。もう1つは、米ドル相場の弱含みが間接的に人民元の上昇に拍車をかけること。現在の情勢から見て、米ドル為替相場に対する市場の過度に楽観的な観測は修正する必要があるかもしれない。