まず、米政府のシャットダウンの期間が比較的長かったことで、経済回復傾向の大局にダメージを与えるほどではないとしても、米国の第4四半期の経済成長をある程度押し下げると見られる。上海に拠点を置く経済研究機関CEBMグループのレポートによると、過去の事例から政府のシャットダウンが比較的長かった1977年から95年の状況を見ると、シャットダウンの期間が2―3週間に及んだ場合、政府支出および国民消費にある程度のマイナス影響が及ぶ事が確認できる。次に、米国の財政問題の不確定性に対する懸念があることも、米ドルの魅力を更に押し下げている。観測筋は「今回の財政危機はひとまず回避できたものの、与野党の対立は先送りされただけで、今後の協議ではますます激しさを増すと見られる。党同士の利益争いに巻き込まれ、米政府の政策決定プロセスの効率はますます低下しており、来年再び、予算や債務上限の引き上げをめぐる対立が繰り返されないとは誰も保証できない。つまり、財政問題は依然として、『ダモクレスの剣』のごとく米政府の頭上高く吊るされているのである」と指摘する。最後に、米国の経済成長の見通し、債務危機のリスク再燃、そのいずれもFRBの通貨政策の方向性の決定に影響を及ぼす。
UBS証券の最新レポートは、「FRBは今、政策を決定するにあたって、経済データだけでなく、米両院の意向もうかがわなければならなくなった」と指摘し、「量的緩和(QE)の縮小開始は2014年年始まで先延ばしされる可能性が高まっている。先般発表された報告書から、FRBが10月に国債買い入れの規模を縮小する可能性は小さいことがわかる」との見方を示した。一方、FRBが近々金融引き締めに転じるとの見方は、米ドルが強気相場に向かう最大の要因となることがかねてより指摘されていた。