実質的に考えると、われわれは経済グローバル化を世界規模の産業構造の新たな調整と理解することができる。経済グローバル化は世界のバリューチェーンの形成と深いレベルでの発展とを促している。どの国も地域もそれぞれの産業構造の調整を積極的に進め、自分たちの国際競争力を高めようと努力し、世界のバリューチェーンで先んじて有利かつ戦略的な地位を占めようと競っている。こうしたことが国や地域の未来の発展の運命および可能性に関わりをもっている。(文:白樹強・対外経済貿易大学国際経済貿易学院教授。人民日報海外版掲載)
世界各国の経済発展の根本的な利益を考えると、多国間貿易の構造がグローバルバリューチェーンを実現するための主要なルートであり、地域レベルの貿易の構造がこれを補完するルートになる。だが多国間貿易体制の交渉が膠着状態に陥っている現在の情況で、世界では地域貿易の自由化の動きに力強さがみられる。理論的にいえば、地域貿易構造は貿易ルールの細分化をもたらす。このためわれわれは次のことを常に冷静に認識しなければならない。地域貿易構造は特殊な段階に過ぎず、最終的にはやはり多国間貿易に回帰するべきだということを。長年にわたり、中国は多国間貿易を主とし、地域貿易構造を補完的存在とみなす立場を堅持してきた。