◆難航するTPP交渉
米国と日本の交渉担当者は4月22日、双方の農業および自動車関税の不一致を解消しようとしたが、オバマ大統領の訪日までに合意に至ることはなかった。
米国は日本に対して、聖域とされる農産物の重要5項目(牛肉、乳製品、豚肉、砂糖、米)の高い関税を撤廃するよう求めた。日本は米国に対して、輸入自動車およびトラックへの関税を取り消すよう求めた。清華大学中米関係研究センター高級研究員の周世倹氏は、「日本は経済面の計算を重視しており、経済的な利益で損をすることはない。安倍首相のバックにあるのは、自民党の根拠地である農村で、農産物の関税で譲歩しようとせず、これ以上の譲歩もできなくなっている。オバマ大統領が今回、日米同盟を駒にしながらも日本にTPPで妥協を迫れなかったとしたら、今後はさらに期待できない」と分析した。
オバマ大統領は、米国国内からも圧力を受けている。TPP早期締結に向けた取り組みは、民主党のベテラン議員から妨害されている。米国の農業協会と自動車製造メーカーはオバマ大統領に対して、強硬な立場をとり日本に市場を開放させるよう迫っている。
米日は現在も歩み寄りを見せておらず、12カ国のTPPの最終決定を妨げている。米日の国内総生産(GDP)は、TPP加盟国全体の90%以上を占めている。米国企業研究所(American Enterprise Institute)の日本研究担当者のマイク・オースリン氏は、「日本がTPPに加入しなければ、完全に意義を失うことになる」と語った。