これと比べると、日本メーカーは「お友達」の中で最も孤立している。日本人デザイナーらは依然として裏で黙々と貢献する役割を演じ続けており、スポットライトを浴びる舞台に立つのは彼らではない。カーマニアが真っ先に思い浮かべる日本人デザイナーは、フェラーリ・エンツォのデザインを手がけた奥山清行氏だけだろう。しかし奥山氏の職業生涯と日本ブランドの間には、それほど接点がない。日本メーカーには才能あるデザイナーがおり、各ブランドの歴史の中からも和風テイストを持つ作品を見出すことができる。例えば日本のスーパーカーの始祖とされるトヨタ2000GT、日産のZシリーズの前身のダットサン240Zなど、日本人デザイナーの控えめな風格は、東洋人の豊かな含蓄、日本の海外と異なる企業文化によって説明できる。しかし今年の北京モーターショーでは、日本製品のデザイン水準が全体的に低下し、最大手のトヨタでさえインスピレーションを発揮することができず、その他のブランドの輝きに埋もれてしまった。
レビンとカローラは、トヨタの北京モーターショーにおける主力車種だ。両車種はキーンルックと呼ばれるシャープな外観を採用した。トヨタのこの新しい風格は、新型RAV4、新型ヴィオス、新型ヤリスによって中国人消費者に知られている。小型化し細長くなったフロントグリル、よりシャープでスポーティーになったヘッドライト、開口を強調する台形のバンパーなどが特徴的だ。これらの要素を組み合わせると、新しいトヨタの若返ったファミリーの特徴が形成される。トヨタのこれまでの「ミスがなければ成功」という製造哲学と比べ、キーンルックは消費者の若年化・個性化の流れに順応した。しかし控えめで含蓄に富むデザイナーが大胆に中庸の風格を投げ捨て、若者向けのスポーティーで刺激的なデザインを形成すると、往々にして、程を把握できずやりすぎてしまう問題が生じる。デザインと調和の面で、新しいトヨタに対しては毀誉褒貶さまざまな反応が見られる。極端から極端に飛び移ったトヨタは、必要であった「個性」を手にしたが、かつての優雅さと精巧さを失った。またその他の展示ブースには、トヨタのようなデザイン面の「溝」は存在しない。量産化に近づいているVWのコンセプトカー「NMC」、ヒュンダイのコンセプトカー「ix25」、国産化を間近に控えたベンツCクラスとジープ・レネゲート、中国の新ブランド「観致」のすべてが、ファッショナブルな活力とブランドの個性を調和的に融合しており、トヨタのようなもつれや迷いは見られない。