中国の発展はここ30年で、世界の製造業に革命的な変化を起こした。だが賃金の上昇と労働争議の増加によって、中国経済は変化の時期を迎えている。このことは、世界の製造業における中国の支配的な地位が終結しつつあることを意味しているのか。英誌「エコノミスト」の調査部門「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット」の分析によると、サプライチェーンに新たな潮流が現れていることは確かだが、新たなインフラの整備や生産性のさらなる向上などによって、中国は今後も競争力を維持していくものと見られる。「エコノミスト」が25日の報道で伝えた。
大量の労働力の供給やインフラへのハイレベルの投資、安定した政治環境、良好な教育によって、中国は米国を追い抜き、世界最高の生産高を誇る製造業大国となった。このことは中国をさらに繁栄させると同時に、賃金の上昇や労働環境の改善に圧力をもたらしている。だが労働集約型のメーカーが(中国を離れて)安価な移転先を探しているという見方は、エコノミスト調査部門によると大げさである。多くの新興経済体における2013年から2018年までの労働生産性と賃金上昇との対比の予測によると、中国よりもコスト競争力が高い国はほとんどなく、労働生産性の増幅が中国を上回る経済体はない。
アジア市場では、低コストの輸出製造業で中国に取って代わる国としてバングラデシュがしばしば取り上げられる。だが同国は、賃金は中国よりも速く上昇するが、労働生産性の伸びは中国の半分にとどまり、中国との競争格差を縮める歩みは最も遅いと予測されている。ベトナムの賃金の上昇率は中国と同程度だが、生産性の向上率は遅々としている。インドネシアも同じような状況だが、ビジネス環境のランキングで中国を下回っている。