佐藤氏によると、日本は現在、比較的大きな転換期にあり、中でも高齢化問題は厳しい状況にある。地方自治体には十分な資金がなく、民間の知恵と資金を借りるほかはなく、民間を主導とした官民協力の開発体制が取られることとなった。
北京外国語大学日本学研究センターの周維宏教授によると、規模集積効果によって大都市は発展・拡大するが、産業集積が一定の段階に達すると、「規模の不効率」の問題が出現する。地価の暴騰や人件費の高さなど産業発展に影響する要素により、産業は再び拡散する。一極集中型の大都市発展はこうして都市圏という概念に向かっていく。また東京都市圏の形成を促進する重要な牽引力となっているのが交通だ。東京都市圏内には約2000kmの都市鉄道が走っており、さらに東京中心部の500kmの地下鉄がこれに加わり、東京都市圏の核心的な枠組みを構成している。
清華大学土木工学部の陸化普教授によると、交通計画の角度から見て日本から得られる重要な教訓の一つは、交通によって都市発展を引っ張るTODモデルにおいて最も重要な切り口となったのが、地下鉄・都市鉄道の駅と周辺の土地の一体化開発だったということだ。例えば総合交通ターミナルとなっている新宿駅は一日の乗降客数が300万人を超える規模を持ちながら、整然とした秩序を保っている。新宿駅周辺の2平方kmの範囲に電車の出入口が100個以上あるが、地下鉄を下りた乗客は標識を見ながらスムーズに目的地にたどりつくことができる。こうした緊密な連携により、乗客は地上の自動車交通と交錯しないですむようになる。つまり鉄道システムを建設すると同時に、立体的な歩行システムも構築されているのである。こうすれば交通と土地利用は完全に一体化し、土地の利用に最適な交通が可能となる。また東京の交通の内訳で環境型交通の占める割合は88%に達し、その主力が地下鉄・都市鉄道となっている。