第一に、日本の安倍首相が実施した金融緩和政策と機動的な財政政策は株式市場を牽引し、為替レートを引き下げ、物価上昇を促したが、その効果は目立って弱まるか、消滅しかけており、「アベノミクス疲れ」が顕在化しつつある。たとえば日経平均株価は14年1月に1万6千ポイントの大台を突破した後、下落や動揺の傾向がみえ始め、現在は1万5千ポイント前後をうろうろしている。日本円の対米ドルレートは1ドル=105円を割り込んだ後、102円前後をおおよそ維持している。ここからわかることは、安倍首相が今後、金融緩和政策によって株式市場の再上昇や円安を促そうとしても、限界があるということだ。日本の財政は現在、使える資金がないという状況で、新たな経済活性化政策を期待することは難しい。
第二に、物価が上昇したが賃金は上昇していない。量的緩和政策に後押しされて、日本はインフレ目標2%の達成で一定の成果を上げた。だが厄介な問題は、日本国民は一方では3.2%のインフレ率を受け入れながら、もう一方で賃金はほとんど上昇していないということだ。物価上昇要因を考慮すると、実質賃金は3.1%の減少になる上、今後の賃金の大幅上昇は見込めない。これでは日本の世帯の実質的な購買力が低下し、個人消費が長期にわたって冷え込むことは確実だ。