第三に、消費税率引き上げがマイナスの影響をもたらした。税率は今年4月に5%から8%に引き上げられたが、日本の企業や国民生活にそれほど大きな影響は出なかった。とはいえデータをみると、4月には個人消費支出が明らかに低下し、社会消費財小売総額が前年同月比4.4%減少し、自動車販売台数も5月は同6.9%減少した。消費は冷え込んだまま、今なお回復していない。実際、国民がより心配しているのは、来年10月の消費税率再引き上げで、税率が10%になることだ。長期的な増税の見通しが、内需にマイナス影響を与えることは誰にでもわかることだ。
現在、世界経済は復興傾向にあるが、その勢いは強くない上、安倍首相の右寄りの政策が重要な貿易相手国である中国や韓国との関係をますますこじれさせている。ここから予想されるのは、日本の対中韓輸出の拡大は難しいということだ。これに原子力発電所の再稼働が難しいこと、イラク情勢の悪化で原油価格が上昇していることも加わって、日本の輸入の負担がますます増大しており、貿易赤字の転換は困難だといえる。