▽3つのリスク
それでは結局のところ、現在の中国では住宅が余っているのだろうか、不足しているのだろうか。秦氏は、「第6回人口一斉調査のデータに基づいて、住宅(共同設備の住宅を含む)の数を試算すると、中国の都市部では住宅の数と世帯の数の比率が1対1に近づいている。つまり全体としていえることは、現在の中国では住宅は(数の上では)基本的にバランスが取れているが、その構造はアンバランスで、新たに増加する都市人口のためにさらに住宅が必要だということだ」と話す。
秦氏は、「当然のことながら、中国不動産市場にもリスクは存在する」とし、「現在の中国不動産市場の発展段階は米日とは異なり、崩壊は出現しないとみられるが、3つのリスクが存在する。第一のリスクは、中小の不動産企業に資金チェーンをめぐって大きな圧力がかかっていることだ。中国の銀行は不動産企業に対してリスト化管理を実施しているため、中小不動産企業は資金コストが増大し、市場からの撤退を迫られる状況がしばしば発生している。だがこれは当たり前の現象であって、問題視する必要はない。第二のリスクは、不動産市場の調整は真っ先に土地市場に波及することで、地方の資金調達プラットフォームの債務の償還に直接的な影響を与えることになる。第三のリスクは、事業用不動産が、機関投資家の主業務の経営状況の影響を大きく受けることだ」との見方を示した。