「中国経済の成長は減速しているが、ハードランディングのリスクは見えていない」。国際通貨基金(IMF)アジア太平洋局のMarkus Rodlauer副局長は26日、ワシントンで記者にこう語った。同日、米シンクタンク「ブルッキングス研究所」は、「中国経済の見通し、リスク、改革」に関するシンポジウムを開催した。Rodlauer副局長はIMFを代表し、今年7月30日にIMFが発表した2014年の「第4条協議」の報告書の結論を紹介した。Rodlauer副局長はこれまでに、作業部会を率いて中国を訪問し、中国政府側との討論と現地視察を通じて、その「体験報告」とも言える今年度の第4条協議報告書を作成していた。報告書では、今年の中国経済が7.5%前後の成長を維持するとの見込みが示されている。
報告書によると、下半期は、世界経済の見通しの改善によって中国の輸出成長に下支えが生まれ、国内需要の減速による影響が相殺される見込みだ。総体的に言って、中国経済の現在の状況では、ある程度の減速は経済社会の持続発展に有利となる。中国経済の発展の見通しは把握されており、中国政府が制定した目標も実現の可能性が高い。Rodlauer副局長の見方は、中国経済を研究する米国の多くの専門家によって支持されている。
Rodlauer副局長によと、中国経済の成長の減速には、融資の過度の成長の制御やシャドーバンキングの制御、地方政府と融資プラットフォームの過度の投資の解決、環境汚染の制御、腐敗撲滅など、中国政府の取っている措置が影響している。中国経済の成長の減速は「ほとんどが良い減速」であり、「消費や輸出、投資はいずれも勢いを保っており、中国経済がハードランディングすることはない」。Rodlauer副局長によると、経済がさらに減速したとしても、中国政府には政策によってこれに対応する余地がある。中国に有利な条件としては、政府の債務の低さや巨大な公共部門の資産、国内の貯蓄率の高さ、対外債務の低さなどが挙げられる。