最近の経済データで、日本の安倍首相が推進する「アベノミクス」は多くの国民にとってなんらプラスがないばかりか、かえって国民を苦しめていることが明らかになった。安倍政権による経済政策であるアベノミクスの本質は、「金融緩和と積極的な財政政策」であり、いわゆる「聖域なき経済構造改革」は掛け声倒れに終っている。金融緩和の効果は絶大だ。大量の資金が株と不動産に向かい、東京株式市場の日経平均は7年ぶりの高値となり、円相場も1ドル109円代と6年ぶりの安値を更新した。不動産価格は値上がりし、消費者物価指数も上昇。日本経済を20年間苦しめたデフレは自然と消えた。円相場の値下がりによって、自動車などの輸出産業の利益が拡大し、従業員の給与もやや増加した。
一見、これらの数字はとても素晴らしいものにみえる。しかし実際には多くの国民とりわけ中小都市の国民にとっては、良いところなど全くない。生活レベルが向上したという実感はさらさらなく、かえって負担が増すばかりである。株価の値上がりによる資産効果も一部の富裕層だけのもの。現在の株式市場における一般の個人投資家の持株比率は、バブル崩壊に伴う「株離れ」によって10%台まで低下している。ほとんどの国民は株高のメリットなど享受していない。また大企業の好業績も中小都市の国民には関係ないものだ。あったとしても極めてわずかである。