円安がもたらした輸入型のインフレは国内の個人消費を押さえ込んだだけでなく、海外にある日本企業の経営にも脅威を与えている。これらの企業は円安の加速や国内の人材コストの上昇という2つのマイナス材料の影響で、利幅が大きく縮小している。
また小渕優子経済産業大臣が、政治資金の管理不十分により、就任からわずか1カ月ほどでこのほど辞職した。戦いの途中で将軍を変えることになり、薄氷を踏むような危うい経済復興の現状に冷や水を浴びせかけた。
内閣府は今後の経済情勢について、日本経済は全体としてはなお安定的復興の軌道に乗っているが、近い将来に低迷すると予想する。2015年10月に消費税率を現行の8%から10%に引き上げるかどうかを年内に決定しなければならず、これが安倍政権が直面する一番目の難題だ。消費税率の引き上げは、GDPの2倍にも達する巨額の財政赤字の解消をねらったものだが、タイミングを間違えれば、日本経済をさらに冷え込ませることになる。安倍内閣の経済顧問を務める静岡県立大学の本田悦朗教授は、「消費税率引き上げのタイミングは1年半遅らせるべき」との見方を示す。また衆参院議員42人が税率引き上げの延期を求める法案を提出しようとしており、政策決定に携わる人々が日本経済の現状に十分な信頼感を抱いていないことがわかる。