国際金融市場が多難な時期を迎えている。原油価格はピーク時の150ドル(1ドルは約118.4円)に比べ3分の2ほど下落し、ルーブルは年初から約60%も大幅に下落し、湾岸の産油国とノルウェーの外国為替市場および株式市場が暴落し、ドル高が進む一方で円とユーロは値下がりしている。(文:梅新育・商務部<商務省>研究院研究員)
このようなすべての変動は、とどのつまり一次製品産業と米国の金融政策の変更によってもたらされたものだ。石油市場やルーブル相場の下落の背後には何らかの操作が行われた可能性もあるが、大きな流れは経済の基本的側面により決定されている。こうしたすべてのことが、私たちに警告するものは何だろうか。
最もわかりやすい警告は、これからもずっとマクロ経済の安定的な運営を注視し、国際収支の差額や外貨準備を冷静に見据えるべきだということだ。金融がグローバル化する世界にあって、通貨の覇権を握らない国はすべて、投機マネーの攻撃を受けるリスクから完全に自由ではいられず、外貨準備はリスク対応のための保険になるということだ。通貨の覇権を握る国の政策決定者は過去数十年にわたり、「米ドルは私たちの通貨だが、あなた方の問題だ」、「米連邦準備制度理事会(FRB)はルーブル危機のために将来の金利引き上げの歩みを遅らせることはない」などと率直に語り、中国にのぼせ上がってはならないと絶えず警告を与えてきた。
経済大国の中では、ロシアの財政指標が穏当といえる。ロシアの13年末の外貨準備は4564億ドル、11月28日現在では4205億ドルだった。現在のルーブルの急激な下落は経済の基本的側面の崩壊を意味するのではなく、投機マネーの攻撃を受けたためということができる。