中国が世界で影響力を拡大しているものには、このほか人民元の価値が挙げられる。中国政府は2008年に上海と広東省でクロスオーバー人民元決済制度を始めて認めた。その後は、人民元の直接取引や人民元適格外国機関投資家(ROFII)、上海・香港相互取引などの国際化政策を積極的に推進。
昨年12月には、韓国ウォンと人民元の直接取引市場を開設した。これによって人民元と直接取引できる地域は、韓国、米国、オーストラリア、ニュージーランド、日本、英国、欧州、シンガポール、ロシア、マレーシアの10まで広がっている。直接取引ができる前までは、最初にドルに換えてから次に人民元に換える必要があり、手数料が2倍必要であった。世界各国と中国の貿易が増加している現在、人民元の直接取引は貿易相手国や企業の為替費用を減少させることに大きく役立つ。
また上海・香港相互取引やROFIIも人民元に対するニーズを高めている。ROFIIは各国ごとに資金の枠を定めており、その範囲内で各国の金融機関や機関投資家は中国本土の株式や債券、金融派生商品(デリバティブ)に投資できる。
2011年は香港にある金融機関にしか認められていなかったが、昨年9月末時点で、86の海外機関投資家に合計で7400億人民元の枠が供与されている。韓国は昨年800億人民元のライセンス枠を取得して中国本土の株式に対する投資が可能になった。また昨年に上海・香港相互取引が実施されたことで、個人投資家も直接中国本土の株式に投資できるようになった。
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