地域一体化を進めるには、政治的な賛同と相互信頼がカギとなる。ハイレベルな国際会議であるボアオ・フォーラムには、多くの国々の指導者や政策決定者が参加しており、相互信頼の醸成に重要な交流のメカニズムが形成されている。
アジアの一部の国同士の関係が不安定な時期にも、ボアオ・フォーラムは積極的な展開を維持してきた。王室長は、ボアオ・フォーラムには「紐帯」という重要な価値があると指摘する。「こうした仕組みがなければ、現在のアジア諸国間の協力もない。ボアオ・フォーラムはアジア一体化のプロセスにプラスの役割を発揮している」
フォーラム創設当初のねらいは、権力や財産がアジアへの移行を背景に、アジア諸国の協力をはかる集団プラットフォームを構築することにあった。世界経済の回復がまだおぼつかない現在、アジアの経済成長率は依然として世界をリードしているものの、今後の発展には不確定性が高まっている。また中国経済の発展が構造調整の入り口にさしかかり、「新常態」(ニューノーマル)に突入したことは、ボアオ・フォーラムに新たな要求を突き付けており、自らの転換によって情勢変化に対応する必要がある。
遅院長は、このような変化はボアオ・フォーラムの議事日程にも表れているとし、次の4つの変化を挙げた。