この値下げ戦争は、新車販売数が伸び悩み始めた昨年夏以降に過熱を帯びてきた。逆境に直面した各自動車メーカーは、市場シェアの減少を恐れ、値下げを通じた販促に走るようになった。しかし売上状況が回復することはなく、値下げ競争はスパイラル状態に陥った。
上位メーカーが値下げ攻勢をしたために、下位メーカーも販売戦略を調整せざるを得なくなった。欧米と日本と比べ、ブランド力に劣る中国メーカーでは「20万円(日本円)前後の値下げも珍しくない」(日系メーカー)という。 現在、日系メーカーは価格競争に巻き込まれたくないと考えているが、事はそれほど簡単ではない。上海にある日産の販売店では、SUVのキャシュカイを10%前後値下げしている。顧客が全体的に減少しているなか、メーカー同士が値下げ競争始めたことで、日系メーカーも値下げによる対抗策を取らざるを得なくなっている。
「いま値下げをしなければ売るのは難しい」と、ホンダの合弁会社「広汽本田」の水野泰秀総経理は警戒心をもって語る。急速な成長が続いてきた世界最大の自動車市場にブレーキがかかったことで、各自動車メーカーは減収減益の危機に直面し、熾烈な競争を強いられている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年5月15日