中韓両国は6月1日、正式に自由貿易協定を締結した。これは現時点で、中国にとって貿易額が最大の、範囲が最も全面的な自由貿易協定だ。協定の発効後、中韓貿易の90%以上の商品がゼロ関税となる。これは両国の経済成長を促し、中国の経済成長率を0.3%、韓国の成長率を0.96%引き上げると分析されている。
中韓がついにFTA締結に漕ぎ着けた。これは「意向が明確であればすべての困難を克服できる」という成功例であり、その縮図である。韓国は中国の重要な隣国であり、中韓FTAは中国の開放的な真の態度を世界に示した。これはまた世界に対して、韓国が中国の自由貿易相手国になれたということは、世界の多くの国もなりうることを示した。
北東アジアの中日韓という主要経済体のうち、中韓がFTAを締結し、日本が後れを取った。後者はこれにより、一定の圧力を受ける。中韓の2014年の貿易額は2905億ドルで、中日の3124億4000万ドルと大差なくなった。日本がためらい続けるならば、中韓貿易はまもなく東アジアの貿易で最大の規模になる。これは地域全体の貿易の重心になり、日本の経済的影響力を食い込むことになる。
韓国は米国の同盟国であり、かつ中国が自国にとって最大の貿易相手国になることを歓迎し、中米と良好な関係を維持している。各国とうまく折り合いをつけ極端を避けるその傾向は、東アジアで特に際立っている。成熟しバランスの取れた戦略は、アジア太平洋の新しい先進国としての重要な競争力になろうとしている。
中国は経済が高度成長中の国であり、世界最大の貿易国だ。これは中国の最も本質的な要素であり、中国と交流する世界にとって最も実質的な接点である。中韓FTAは世界の人々に対して、無言のうちにこれを再確認している。中国は高圧的な大国であり、世界秩序を脅かしているという説は、一部の国と勢力の主観的な憶測であり、地政学に対する自分勝手な考えだ。
韓国は中国との外交関係の樹立が東アジアで最も遅れた国で、現在までまだ23年しか経過していない。しかし中韓貿易は世界クラスの大規模な貿易に発展し、地域の平和と繁栄の重要な支柱になった。これには、アジア太平洋の多くの国・経済体が真剣に参考にすべき価値がある。
中国はさらに多くの国や経済体とのFTA締結を目指す。これは中国が密かに踏み出した歩みだ。南中国海と東中国海の係争が拡大され、大勢の注目を集め、世界がミスリードされている。中国は周辺諸国や世界にとって何を意味しているのだろうか。これは偏見の対象となる、冷戦の意味合いを帯びた問題ではなく、グローバル化の時代に未来を見据えるため深く考えるべき問題だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年6月2日