■エプソンの「匠」の精神
2014年現在、世界で創業200年以上の長寿企業は5586社あり、このうち半分以上の3146社が日本に集中し1位となっている。ちなみに、2位はドイツの837社、3位はオランダの222社、4位はフランスの196社の順だ。では、長寿企業になるための秘訣とは何だろうか?実は、これらの企業には1つの共通点がある。それは、「匠の精神」を受け継いでいることだ。
100年以上の歴史を持つ企業が世界最多である日本が誇る「日本式管理」にはある秘訣がある。それは、たゆまぬ努力で進歩し続けることで、仕事に誇りを持つ精神を代々受け継いできたことだ。この精神こそが実は「匠の精神」だ。例えば、セイコーエプソンの社内では、「ものづくりの精神」や「ものづくりの技能」という言葉が浸透している。
セイコーエプソンはこれまで一貫して「省・小・精の技術」を培ってきた。「省」とは、エネルギー、時間、手間などを省くことを指し、「小」は製品を小型化して省スペースを実現させることで、「精」は正確さや精彩さなどの高精度を実現する製造技術を指す。つまり、「省」「小」「精」の技術を有していることから、セイコーエプソンは製品に必要な部品をすべて自ら設計・製造し、最後にこれらの部品を加工して製品を完成させているのだ。