さらに他の分析では、東芝には「上司の命令は絶対であり、必ず服従しなければならない」という特殊な企業文化があるという。「愚直な忠誠心」が企業をダメにしたのだ。
もっと踏み込めば、本事件には深い原因が隠されている。第一に、企業審査や監査の有効性に対する疑念。企業業績は国内外の子会社や各種経営収入を合わせたものである。毎年の業績報告は、取締役会以外に会計監査法人や証券取引検査機構、取引銀行や金融機関の審査を受ける必要がある。日本の審査システムに不備はない。では同社の財務報告書はどうして順調に関門を潜り抜けることができたのだろうか。審査機関と企業の癒着の可能性を排除することはできないだろう。第二に、企業のコアコンピタンスだけでは企業の発展を維持できなかったこと。東芝は世界で認められた日本を代表する企業のひとつである。白物家電や電子部品で知られ、かつては最先端のノートパソコンでも知られた。