「中国政府が推進している経済の構造調整が、長期投資に主眼を置く海外の機関投資家に大きなチャンスがもたらしている」――。英国に本拠を置く投資運用会社、アッシュモア・グループのジャン・デーン(Jan Dehn)チーフアナリストはこのほど「経済日報」の取材に応じ、中国のマクロ経済情勢について、自らの見解を語った。
アッシュモア・グループはいち早く中国市場に進出。中国と英国の両政府による人民元適格海外機関投資家(RQFII)協定の締結直後に、第1陣として、中国本土市場の株式や債券への人民元建て投資が認められるRQFII資格を取得した。長年にわたって積み重ねた運用経験とバリュー志向に基づいた投資戦略を踏まえ、中国経済の現状について、デーン氏は「成長を支えるファンダメンタルズは、短期的に見ても長期的に見ても、非常に安定している」との認識を示した。
投資が経済をけん引するこれまでの成長モデルにも言及。一部の投資家の間では、「投資への過度の依存や、資本の不適切な配分が、中国経済成長の減速を招いた」との声が上がっているが、デーン氏はこうした見方を否定している。「過去の成長モデルを批判する投資家は、今後の発展につながる投資の役割を認識できていない」と指摘し、「中国が行ってきた投資は、未来を見据えた正しい選択だ」と評価した。投資の内訳を分析すると、インフラと不動産が大部分を占めている。デーン氏は、インフラ整備が向こう数十年にわたり、中国の経済成長を下支えすると予想。また、都市化の進行から生まれる住宅需要や、所得水準の向上にともなう国民の住み替え需要に応えるため、不動産投資も必要不可欠だと解説した。