中国人民銀行(中央銀行)は先ごろ、人民元取引の基準となる対ドルの為替レート「基準値」を一定程度引き下げた。これは基準値と市場実勢のかい離の是正を図るもので、人民元相場の市場化改革の方向性と一致している。中国人民銀行は、人民元相場を合理的な均衡ある水準で安定を維持する能力がある。人民元は今後も引き続き強い通貨であり、上昇基調に入る可能性がある――。
人民銀は8月13日、人民元相場の是正についてブリーフィングを行い、易綱副総裁と張暁慧総裁助理が報道機関への説明にあたった。人民銀首脳部は、「基準値と市場実勢の累積した差異は3%前後だった」と指摘したうえで、「数日に渡る調整で、かい離の是正は終えた」と述べた。「長期的に見れば、人民元はまだ強い通貨であり、今後も上昇基調に入る可能性がある」との認識を示した。
「人民元を10%切り下げて輸出を刺激する」、「このところ中国から大量の資本が流出している」などの噂についてはいずれも否定。「中国は為替相場の調整により輸出を促す必要はない」、「資本の流出入も正常な範囲にある」とした。
張暁慧総裁助理は今回の是正措置の背景について、市場調査の結果、人民元基準値と市場実勢に開きがあったためだと説明。かい離は3%前後だったとし、次のように述べた。「このようなゆがみは長期的に放置すべきではなく、人民元基準値の市場化の度合いと基準性を一段と強める調整を通じ、不均衡と過度な差異の累積を回避する必要がある」