中国国務院は23日、「基本養老保険基金投資管理弁法」を正式に発表し、養老金(年金)の株式運用比率を明らかにした。株式や株式型ファンド、バランス型ファンド、株式型年金保険商品などへの投資比率は合計で「純資産の30%」を上限とすることが決定した。年金の株式市場での運用は、年金資金のリスクヘッジや付加価値向上にどのように影響し、株式市場に何をもたらすのか?「人民日報」の取材によれば、中国社会科学院世界社会保険研究センターの鄭秉文主任は次のように分析した。
◆資本市場への長期資金流入が拡大へ
年金の株式市場での資金運用が始まれば、資本市場への長期資金流入が大きく拡大することになる。一般的には、保険資金と年金基金は資本市場にとって長期資金と位置付けられ、年金基金は保険資金に比べてより安定が求められる。年金基金は数十年も流動性の問題を考慮する必要がなく、市場価値を発見できるバリュー投資とも言える。そのため資本市場は、年金基金が流入しなければ、市場価値向上が期待できず、バリュー投資の実現も難しい。年金基金は資本市場にとってバリュー投資の基盤となり、債券市場における20年国債と同様の役割を果たす。
現時点で株式投資を許可されている年金基金は、「全国社会保障基金」と「企業年金基金」のみ。両者合計で名目上は最大8200億元規模(社保基金6000億元+企業年金2200億元)の流入が期待されるものの、市場全体に占める割合は時価総額の1.3%に過ぎない。強気相場でも株式投資比率が上限に達することはないため、実際はさらに少なくなる。これに比べて米国の資本市場では、年金基金の実質占有率は60%に達するという。
「年金は今後、重要な機関投資家となる」と鄭主任は語る。資本市場の初期段階では個人投資家が支配的となるが、成熟した市場では機関投資家が支配的だ。個人投資家は投機目的の投資が多いため、市場のボラティリティは高くなりがちだが、年金基金が流入すれば機関投資家陣営の拡大が期待できる。