中国人民銀行(中央銀行)は25日、人民元建て貸出と預金の基準金利を8月26日付で引き下げると発表した。1年物の貸出基準金利と預金基準金利はともに0.25ポイント引き下げられ、それぞれ4.6%、1.75%となる。利下げは昨年秋以降で5回目。また、金融機関全体の預金準備率を9月6日付けで0.5%引き下げるほか、農村金融機関など一部の金融機関を対象に追加の引き下げも行う。
今回の利下げと預金準備率の引き下げは、社会の資金調達コストを引き下げ、実体経済の持続的で健全な発展を促すのが主な狙いだ。同時に、銀行システムの流動性の変化に応じて、適度に長期的な流動性を供給し、合理的で余裕のある状態を維持する。
人民銀はこれとともに、期間1年を上回る定期預金を対象に、預金金利の上限規制を撤廃。金利の市場化改革に向け重要な一歩を踏み出した。
◆実体経済の支援が主な狙い
中国の経済成長は依然として下押し圧力に晒されており、成長安定化、構造調整、改革促進、民生改善、リスク防止など課題が山積している。最近の世界的な金融市場の混乱も踏まえ、より柔軟な金融政策手段の運用が必要となっている。
人民銀幹部は、今回の「基準金利と預金準備率の同時引き下げ」について、基準金利の主導的役割を発揮し、社会の資金調達コストの低下を促進、実体経済の持続的で健全な発展を支援することが主な狙いだと説明した。
前回の利下げの効果をみると、企業の資金調達コストは明らかに低下している。人民銀は2014年11月からすでに貸出と預金の基準金利を合計で4回引き下げており、金融機関の貸出金利の低下を図った。15年7月時点での金融機関の貸出金利は、加重平均で5.97%と11年以来初めて6%を下回る水準となっており、社会の資金調達コストが高止まりしている問題は和らぎつつある。