▽シンガポールの場合 「神秘的」な中央政府の積立金
シンガポールの年金資金の運用は典型的な政府による集中管理モデルを取り、中央積立金と呼ばれる。他国と異なるのは、この制度は制度利用者のために4つの口座を設置し、年金、住宅、医療など複数の分野をカバーすることだ。政府、企業の代表、従業員の代表、社会保障の専門家からなる理事会が、中央積立金管理局を監督管理する。政府は中央積立金の償還を保証するが、資金の徴収、管理、投資はいずれも政府から独立して行われる。
具体的にみると、中央積立金は政府が発行する特別債券を購入し、その資金がシンガポールの政府系投資企業に回り、集中的な投資が行われる。この企業は1981年に設立され、現在管理する資産は2千億ドル(約24兆800億円)を超え、長年にわたり「アジアで最も大きく最も神秘的な投資家」と呼ばれてきた。主な投資先は比較的安全な国内のインフラ建設投資と一部の海外資産への投資であり、同企業のサイトがこのほど発表した最新のデータによれば、過去20年間の年間投資リターン率は5%に迫ったという。