中国の習近平・国家主席は現地時間の9月22日、米国西海岸に位置する経済の中心都市・シアトルに到着し、米国公式訪問をスタートさせた。1979年の鄧小平氏訪米以来、歴代の中国最高指導者はいずれもシアトルを訪問していた。シアトルには米国製造業の巨大企業であるボーイング社が工場を構え、ハイテク産業を代表するマイクロソフトの本社もある。国家主席として初の訪米で習主席がシアトルを最初の訪問都市に選んだことは、中米関係の継承を意味していると同時に、今回の中米首脳会談で経済が重要なテーマであることを表している。
中米両国は世界経済の二大けん引役で、世界経済の先行きを左右する。しかし、重要な経済問題をめぐって、両国の間で意見の相違や誤解があるのも事実。中国による世界経済成長への寄与度が40%前後の水準を維持しているものの、製造業、輸出などの統計データの落ち込みや、6月以降の株式市場の下落を受け、中国経済の減速を懸念する声が上がっている。これに対し、中国は明確な答えを示す必要がある。
一方、米国の利上げに絡んだ動きや、新たな多国間貿易ルールの形成に向けた動きが影響し、昨年から新興市場が不安定な状況に陥り、世界自由貿易も課題に直面している。米国は金融政策転換の判断基準を明確にする必要があり、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)、TTIP(環大西洋貿易投資連携協定)が既存の世界貿易体系に衝撃を与える可能性についても説明しなければならない。中米間の経済の議題は、過去と比べ一層大きな戦略的な意味を持つ。