国際広告は往々にして、現地の国民に見せるためというよりは、自国の国民に見せて一種の誇りを感じさせるためのものなのだろう。30年前、日本人記者が首都空港の道路で日本企業の広告を見た時の気持ちを、私たちもようやくわかるようになった。
筆者はもともと、日本で華為の製品を買おうという気などなかった。だがどういうわけか、成田空港で華為の広告に目を止めてから、日本の家電量販店を訪れるたびに、華為の製品を探すのがくせになってしまった。ある日、一番大きな(家電量販チェーンの)ヨドバシカメラの店舗に入ると、入り口近くの携帯電話のカウンターに華為の携帯電話やタブレットが並んでいるのを見つけた。やはり買う気はなかったが、思わずその前でしばらく立ち止まってしまった。
日本での中国ブランドに関する連載を書くにあたって、筆者は、日本企業の関係者数人に話を聞いた。彼らが異口同音に話題にした中国ブランドは、意外なことにこの「華為」であった。
「中国で通信関連機器を売る場合、昔なら、少し高級な製品ではほとんど競争相手がいなかった。だが現在は、こっちの方がほとんど華為に太刀打ちできなくなってしまった」。ある有名な通信設備メーカーの上層の幹部は東京で筆者にそう語った。