「日本の通信設備メーカーは国際市場のあらゆる場所で華為との競争を迫られている」。貿易研究分野のある専門家もそう語った。筆者にとっては意外だったが、通信ソリューションというものは携帯電話やタブレットとは異なるものなのだろう。どこかで大規模なプロジェクトを受注しても、一般の消費者にはよくわからないし、関連情報を目にしてもなかなか記憶には残らない。だが特定の分野の研究に従事する業界内部の人にとっての印象はまるで違う。
華為の日本進出は、日本の同業者や政府関係者に恐れを抱かせているのではないか。筆者がそんな疑問を胸に、日本の経済産業省のある役人に話を聞くと、「華為のような企業が日本にやってくるのは大いに歓迎する」との答えが返って来た。どうやら外交辞令でもなさそうだ。この役人によると、日本には成熟した市場があり、通信技術の分野でもやはり先端を行く大量の企業がある。外国勢の進出は、日本の国内市場における技術開発の競争を強化している。華為のような企業が日本で研究所を設立し、消費者や設備投資の市場の特徴を日本で研究していることで、日本企業も研究開発の手を緩めることができなくなる。これによって良性の競争がもたらされているというのだ。