中国の外貨準備高は11月末時点で3兆4383億米ドルとなり、前月末から872億米ドル減少した。為替レートの変動で外貨準備高が目減りし、その影響は約300~500億米ドルに上る。また、海外への資金流出も、準備高が減少する一因とみられる。ただ、長期的には、中国経済のファンダメンタルズが良好で、経常収支は依然として大幅な黒字を維持。このため、人民元安が大きく進行することはない。
中国人民銀行(中央銀行)が7日に発表したデータによると、11末時点の中国の外貨準備高は3兆4383億米ドルで、10月末の3兆5255億米ドルに比べ872億米ドル減少した。今年5月以降、外貨準備高は一旦5月連続で減少が続いたが、10月と11月には増加と減少を繰り返し、双方向の変動基調が顕著になっている。 為替レートの変動が主因 中国人民銀行は今年9月、8月の外貨準備高が減少したことについて、◇人民銀行が外国為替市場で操作を行い、市場に流動性を提供した、◇外貨準備委託貸付事業が8月に一部の資金を引き出した、◇国際市場の主な金融資産の価格上昇がある程度減速した--の3つの要因を挙げていた。
為替レートの変動は、これまでも外貨準備高の増減を左右する大きな要因の一つ。中国の外貨準備は米ドルで計上されているが、実際の構成ではユーロや日本円など他通貨も含まれている。米ドル高が進むと、他通貨建ての準備高は目減りすることになる。