野村の趙揚・チーフエコノミストは、11月のユーロ安、円安を受けて他通貨建て資産で為替差損が発生し、中国の外貨準備高の減少に大きく影響したと分析。12月の外貨準備高はさらに減少する可能性もあるとみている。
双方向の変動が常態化
今後の見通しについては、先進国の金融政策や、国内経済成長の鈍化などから、中国のクロスボーダー資金移動に圧力がかかる可能性がある。ただ、中国経済のファンダメンタルズは良好で、経常収支は依大幅な黒字を維持している。人民元安が大きく進行することはなく、外貨準備高は増加と減少を繰り返す双方向の変動が常態化するとみられる。
中国銀行が7日に発表したリポートで、世界経済の成長率の低迷や、主要国家で金融政策の方向性が異なっていることなどを考慮し、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに踏み切ったとしても、上げ幅は限られるとの見解を示した。新興市場や発展途上国にとって資金流出や通貨安などの圧力はかかるものの、人民元安は小幅にとどまる。長期的みれば、中国経済のファンダメンタルズは良好であることや、人民元のグローバル化の加速が、人民元レートの下支え要因となる。また、今年8月以降、人民元為替レート形成メカニズムの改革が新たな段階に入っている。人民元為替相場は弾力性を高め、双方向の変動基調が一層顕著になり、合理的で均衡の取れた水準で推移する。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年12月8日