人民元がSDR金融バスケットに採用されるため、中国は金融改革の推進を加速させてきた。特に国内外の為替や株式市場の開放を加速させ、人民元の国際的使用率と流通率を高めてきた。2014年11月17日には早くも、香港と上海の株式取引市場の相互接続「滬港通」を開始させた。上海と香港の両市場の1日あたり越境取引は235億元になっている。これは金融資産取引の自由化・流動化の開放のきっかけと見なされた。中央銀行は2015年8月11日、人民元為替相場における人民元為替レート基準値(中間値)システムの改善を発表した。同日、対ドル人民元レートは大幅に下落し、1994年の為替改革以来となる下落となった。
しかし、オンショアとオフショアでの人民元の価格差を縮小させ、その結果、人民元の市場価格は国際投資家に認められるものとなった。中央銀行は2015年9月、海外中央銀行組織に対し、中国銀行の外為市場参入を許可した。中国人民銀行は2015年10月20日、ロンドンで50億元の手形を発行した。これは中国以外の地域で発行された初めての人民元による中央銀行手形である。これによりイギリスは、欧州の人民元取引センターの地位を確固たるものにすると同時に、人民元資産の国際的な使用と流通を増加させるものとなった。 AIIBの成立は、人民元の国際化推進にとって重要な戦略的措置といえる。
中国財政部の部長である楼継偉氏は2015年12月25日、取材に対し、「アジアインフラ投資銀行協定」がこの日、効力発生条件を満たし、同銀行は正式に成立されると述べた。業務準備計画に基づき、AIIBの開業式と理事会、取締役会成立大会が2016年1月16日~18日に北京で開催される予定だ。