中国が提唱し、成立させたAIIBは、ヨーロッパ・アジア地域で必要とされる膨大なインフラ投資需要に応えるものである。それと同時に、中国が提唱する「一帯一路」発展戦略と組み合わせることで、ヨーロッパ・アジア地域の経済復興と持続的な発展を促すものでもある。つまりAIIBは中国一国の利益追求ではなく、関連地域経済の長期発展にとって有利なものである。だからこそ、イギリス、ドイツ、シンガポールなどアメリカ同盟国の大きな支持と参加が得られた。また、人民元がより広く国際的に使用・流通される大きなきっかけともなるものである。
これ以外にも、AIIBの成立は国際金融秩序の改善にとって有益な措置といえる。AIIBは中国金融の実力と金融運営管理能力を発揮できるものだが、同時に、国際金融改革を後退させかねないものでもある。 IMF(国際通貨基金)の出資比率改革案と管理改革案が通ったことは、人民元の国際化にとって大きな事件だった。
2015年12月18日、アメリカ両院は、2010年のIMFの構成比率と管理改革に対する案を批准した。この改革案は、IMFの実力を倍増させ、新興経済体の比率を高め、IMF事務局により多くの発言権を持たせるものである。この結果、中国はIMFの投票権が3.8%から6%に増えた。
2015年は人民元の国際化に大きな進展と収穫のある1年だったが、これはゴールではなくスタートに過ぎない。中国はSDFの中に入り、IMFでは多くの発言権が得られるようになり、AIIBが設立した。しかし、唐の時代における世界金融の地位に比べればまだまだである。人民元国際化という任は重く、道は遠い。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年1月4日