人民元の対米ドルレートがこのところ持続的に下落しており、市場で幅広い関心を呼んでいる。中国人民銀行(中央銀行)は7日にサイトで発表した論考で、「投機的な勢力に直面しても、人民銀には元レートの合理的なバランスの取れた水準での基本的安定を維持する能力がある」との見方を示した。新華社が伝えた。
同論考によると、元レートを調和できる市場パワーは実体経済と関連した外国為替の供給・需要であり、プロシクリカリティ(景気循環増幅効果)とリレバレッジ行為を主な特徴とする投機勢力ではない。一部の投機勢力は元相場をあおって利益を得ようとし、その取引行為は実体経済の需要とは関係がなく、市場の真の需要を反映しているとはいえず、元レートの異常な変動を招き、市場に誤った価格シグナルを発することになるという。
また同論考によると、元レートは市場の需給パワーの変化により調和するべきであり、各種バスケット通貨を参考にして、上がったり下がったり、双方向で変動するべきだという。
2015年12月31日の人民元為替レート指数は100.94で、14年末より0.94%上昇した。国際決済銀行(BIS)のバスケット通貨の同指数は101.71で同1.71%上昇し、国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)のバスケット通貨は98.84で同1.16%低下した。3つの指数は1つが低下し2つが上昇し、ここから15年には元がバスケット通貨に対して全体として基本的安定を保ったことがわかる。
同論考によれば、現在の元レートには基本的な安定を保ち続ける条件がそろっているという。具体的には次のようなことだ。
中国経済の運営状況は全体として安定している。15年には輸出の伸びが鈍化したが、グローバル市場に占める中国の輸出の割合は引き続き増加しており、中国は通貨の切り下げ競争で輸出を喚起して成長をはかる必要はない。また米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げの影響は事前に消化された部分が大きく、次の段階の米ドルの動きは多方面の要因に影響されるため一定の不確実性を備えることになる。中国経済の基本的側面は元レートを長期的に支援するとみられる。元レートには持続的な下落の土台は存在せず、元は国際準備通貨の中で引き続き強い通貨であり続ける。
同論考は、「2016年には、元レート形成メカニズムが市場の需給を基礎とする、通貨バスケットを参考にする、双方向に変動する、柔軟性を備えるといった特徴を引き続き示し、元レート政策も国際収支の自動調節という役割をより多く引き受けるものになる」と予想する。
「人民網日本語版」2016年1月8日