中国国務院は先ごろ、「加工貿易革新発展の促進に関する若干の意見」を発表した。同意見は、加工貿易をめぐるグローバル環境と中国国内の発展条件に重大な変化が生じるなか、今後一定期間にわたる中国の加工貿易のイノベーションに関する方針を指導する文書となる。
同意見は、加工貿易が中国の対外貿易と開放型経済の重要な部分を占め、産業の高度化や安定就業の推進に重要な機能を発揮していると指摘した。現在、グローバル産業の競争構造は大きく調整され、加工貿易の国際産業移転が緩やかに進む一方、産業と発注の入れ替えが加速し、企業の生産コスト上昇で既存の競争優位性が徐々に損なわれていると分析。経済成長の「新常態(」ニューノーマル)に能動的に適応し、イノベーションと開放拡大を原動力に、グローバル産業の分業調整と“中国製造2025”の実施を契機として、中国の情勢に応じた加工貿易のイノベーションを進める必要があるとしている。
「穏中求進」(安定を保ちつつ経済成長を促す)の方針堅持、モデル転換・高度化の推進、イノベーション主導の実施、国内外の配置統一、ビジネス環境の最適化を進め、加工貿易をグローバルバリューチェーンのハイエンドな部分に押し上げると強調。具体的には、◇ローエンドからハイエンドへ製品技術と付加価値を向上する、◇産業チェーンの拡張で生産・製造とサービス貿易の発展へつなげる、◇経営主体の実力を増強して加工組立企業から技術・ブランド・マーケティング型企業への転換を促す、◇中国中西部の協調的発展と国内外の合理的配置を通じて地域構造を最適化する、◇要素をベースとして成長の原動力を要素とイノベーションを合わせたものに転換する――方針を示した。