習近平国家主席は1月19日から23日にかけて、サウジアラビア、エジプト、イランの中東3カ国を公式訪問した。中国首脳の公式訪問としては、2016年に入ってから今回が初めて。中東諸国への訪問は2009年以来だ。
習主席の今回の中東訪問は、3カ国との実務協力にとどまらず、「一帯一路」計画の推進も目的だ。これはまた「チャイナ・ドリーム」の1つの延長線上にあるとも言える。すなわち、中国は中華民族の復興の夢を実現するだけでなく、その他の途上国の民族復興を手助けしようとしているのだ。今回の習主席の中東訪問は、政治、経済、外交のあらゆる面で、中国にとって戦略的意義が非常に大きい。中国は中東に対してこれまで、「受け身」の外交戦略を採ってきたが、「積極的能動的」な戦略に転換したことを意味し、中国の対中東外交戦略が大きく変わったことを示す。
中国の対中東外交戦略でこれまでと大きく変わった点は、「経済偏重、政治軽視」から「政治経済ともに重視」あるいは「経済を以て政治的安定を促進」という方向に変化したことだ。また、これまでは中東諸国間や国内での紛争への介入を避けて来たが、今後は主体的に調停に乗り出す見通しだ。今月上旬にシリア反体制派組織「シリア国民連合」のハーリド・ハウジャ議長が中国を訪問したことも、これを裏付ける。