中国経済の現状を見渡すと、大規模な需要刺激策により景気の下押し圧力を和らげることは不可能であり、却って生産能力過剰や環境汚染などの悪影響をもたらしかねないことがわかる。中国が直面している問題は、短期的で、景気変動に左右される、外部からの衝撃を起因としたものではなく、単純な需要管理で解決できる問題でもない。これらは中長期的で、構造的、内部の圧力による問題であり、それはまさしく「供給側」の特性だと言える。
需要と供給は、近代経済学の基本概念であり、1つのコインの表裏だ。「レーガノミックス」と「サッチャリズム」は供給面からの経済刺激を主張するサプライサイド経済理論の典型例で、減税や国有企業の私有化、政府による市場介入の削減を通じて経済改革の実現を目指すものだ。
一方、中国の「供給側の改革」は単なる西側諸国の物真似ではなく、改革の実現に向けた独自の手法と方向性を持つ。経済の成長エンジンという問題については、改革の全面的深化と創新(イノベーション)を通じた発展を図る方針だ。
「供給側の構造改革」実現は、2020年までに2010年比で国内総生産(GDP)倍増、年平均経済成長率6.5%以上という目標の達成が1つの目安となる。これは三中全会で提議された「改革の全面的深化」の延長線上にあり、供給体系の質と効率を一段と重視したものだといえる。