中国から欧州への投資は拡大が続いている。独メルカトル中国研究センター(MERICS)と米経済調査会社のロジウム・グループが発表した最新リポートによると、2015年の中国の欧州向け投資は200億ユーロに上り、過去最高を更新。うち中国国有企業による投資が全体の70%を占めた。向こう5年にわたり、中国の海外投資は年間2000億米ドルに達する見込みだ。ドイツ経済新聞が16日付で伝えた。
投資額の増加に加え、投資分野も広がりを見せている。タイヤ大手のピレリ、高速道路ガソリンスタンド・サービスステーションを経営するTankundRast社、農業を手がけるKTGなどの欧州企業に、中国企業が多額な資金を投入。また、中国の投資家が「インダストリー4.0」基金を立ち上げ、独研究機関やハイテク企業への投資拡大を図っている。最近では、ルーマニアの発電所や英国の原子力発電所など、欧州で中国企業が複数のインフラプロジェクトの落札に成功した。
中国の経済成長は減速しているものの、海外投資の勢いは続きそうだ。中国の指導者は2020年までに海外投資が1兆米ドルに達すると見ている。メルカトル中国研究センターの専門家は、「16年は中国政府にとって、資本の流出や、一部投資家の債務増加など、リスクも潜んでいる。しかし、中国企業がグローバル化を推進する戦略は変わらない」と指摘した。