ブルームバーグは3月1日、「エアバスとボーイング、中国の友好と受注を争奪」と題した記事を掲載した。要約は下記の通り。
中国は先進工業国を目指す取り組みにおいて、航空宇宙産業を10の重要産業の1つと位置付けている。全国両会(全国人民代表大会、全国政治協商会議)開幕を控え、未来の競争者である欧米航空機メーカーが、中国の目標実現を支援している。エアバスは2日、天津でワイドボディー機「A330」の完成センターの着工式を開く。ボーイングも中国で航空機を完成させる施設の用地を探している。
20年後には世界最大の航空旅客市場になる見通しの中国で工場を開設することは、政治的だけでなく経済的な判断でもある。エアバスやボーイングは中国の航空会社から毎年数十億ドルを受注しており、組み立てを現地で行えば既存施設の負担を緩和できる。こうした投資で得られる(中国の)善意も同様に重要だ。ランド研究所アジア太平洋政策センターのスコット・ハロルド氏は、「中国はこれらの企業の工場建設による雇用促進に期待すると表明していた。中国に工場を建設すれば、中国の友人になれる」と指摘した。
航空宇宙産業は、昨年の全人代で公表された製造業育成計画「中国製造2025」で取り上げられた10業種の1つだ。中国は航空機メーカーに中国進出の拡大を奨励しており、エアバスとボーイングは中国企業と、航空機部品で合弁事業を行っている。
中国の航空宇宙産業はまだ小規模だが、大きな野心を抱いている。中国は国産機の開発に取り組んでおり、エアバスとボーイングの大型機市場の独占を脅かそうとしている。航空機に詳しい専門家は、「新製品の開発と技術的な発展を続ければ、中国企業は20年内にエアバスやボーイングの手強いライバルになるだろう」と予想した。
外国企業はまた、中国の航空産業供給チェーンの構築を促している。中国はエアバスとボーイングに発注し、その見返りとしている。中国航空会社は今後20年内に6330機(金額にして9500億ドル)を追加する必要がある。これは世界全体の約17%を占める。関係者は、「中国が航空産業に参入するのは、単なる商業的な目的によるものではない。中国は巨額の投資を行い、数十年をかけ産業を発展させる準備を整えているようだ。中国はジェット機の設計・製造能力の把握を、政治的目標の一つとしている。これは国家の科学技術力の基準だ」と話す。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年3月6日