日本や欧米と同様に、中国でもアニメやゲームから派生した二次元文化が成長し、インターネット大手企業の新たな収益源となっている。中国の艾瑞諮詢(アイリサーチ)が発表した「2015年中国二次元ユーザーリポート」によると、中国の二次元消費者は2億6000万人で、うち97.3%を1990年代と2000年代生まれのユーザーが占める。
二次元市場の規模は徐々に拡大し、資本が巨大な市場潜在力を見い出して、関連ビジネスも広がっている。
中国国内アニメ視聴サイトの先駆者となる「bilibili(ビリビリ動画)」は2015年11月、騰訊(テンセント)から数億元に上る出資を受けた。現時点で、ビリビリ動画のユーザーは5000万に上り、うち4分の3が24歳以下となっている。
デジタル業界大手3社「BAT」に入る阿里巴巴(アリババ)と百度(バイドゥ―)も積極に動く。優酷土豆集団は2015年8月、中国国内の大手動画共有サイト「AcFun」に5000万米ドルを出資。その後、阿里巴巴が45億米ドルで優酷土豆集団を買収したため、AcFunは阿里巴巴のグループ企業となった。また、百度の傘下にある「愛奇芸」もアニメ制作会社を設立したほか、「百度貼吧」も二次元ユーザーの人気サイトだ。
インターネット大手が二次元企業で争うが、1990年代と2000年代生まれが主要な消費集団となりつつあり、彼らのニーズを満たすことができなくなれば、企業はすぐに衰えていくだろう。
騰訊の馬化騰会長兼CEOは以前、「1990年代生まれが台頭する時代では、こうしたユーザーの嗜好をより理解する必要がある。我々はインターネット接続事業を手がけるが、仮に新たなユーザーの消費行動や使用習慣を理解することができなければ、最大の問題となる。微信(ウィーチャット)やQQ(メッセンジャー)を含め、あるモノが永久に変わらないことは誰も保証することができない」と述べている。
一方、インターネットの風穴となる可能性が極めて高い二次元経済は、著作権とコンテンツという2つの試練に直面している。
AcFunやビリビリ動画が立ち上げ当初、海賊版に頼り、原作を移すなど、オンライン動画のほとんどは、著作権の許可を受けていなかった。AcFunやビリビリ動画の発展に伴い、著作権保護が規範化され、二次元動画サイトはすでに「海賊版では未来が無い」ことを認識している。
正規版の購入は著作権問題の解決につながるが、他人のコンテンツを使用することは、「他人に代わって嫁入り衣装を着る」ようなものだ。また、その過程で生じた巨額投資もどのように解決するのだろうか。アニメとゲームに限らず、小説や映画でも、オリジナルコンテンツを創作することが難題を解決するカギとなる。
AcFunやビリビリ動画に大きな成果は出ていないが、中国の3Dアニメ「大聖帰来(西遊記ヒーロー・イズ・バック)」やギャグアニメ「十万个冷笑話(10万個のダジャレ)」が大ヒットしたことで、二次元経済には希望が見えている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年3月7日