李克強総理は5日の政府活動報告で、「供給側の構造改革」と新たな成長エンジンの育成、従来の比較優位性の高度化に注力する必要があるとの方針を示した。過剰生産能力の削減、不動産在庫解消、脱レバレッジ、コスト引き下げ、脆弱産業分野の補強を着実に進めるとともに、民生保障の強化、リスクの確実な防止を図り、「十三五計画(第13次5カ年計画、2016~20年)」期の経済成長に向け、良好なスタートが実現できるように努める。
李克強総理は今年の重点課題8項目のなかで、「供給側の構造改革」を2番目の項目として挙げた。政府活動報告で「供給側の構造改革」実施に向けた説明に7つの段落が割かれたことも、この改革への力の入れ方を物語る。供給側の構造改革は、中国の経済成長に関する方向性の転換を示しており、改革に注力することで、中国の経済成長は新たな段階に進もうとしている。
世界経済の回復の遅れ、金融市場の急激な変動と商品相場の暴落が重なり、世界経済の不確実性が増すなか、中国経済もその影響を避けられない状況だ。中国国内では経済が「新常態」の段階に入りつつあり、「成長モデルの転換期、構造調整の陣痛期、景気刺激策による矛盾の解消期」の3つの時期が重なっている。それにより生産能力の過剰や企業の資金調達難などが顕在化し、経済のモデル転換が一段と困難になっている。そのようななか、需要と供給の両面で、特に市場化を中心とした改革の過程で成長潜在力と原動力を探りつつ、中高速の経済成長を維持し、中国の産業をミドルハイエンドの水準に押し上げることが喫緊の課題となっている。