開催中の中国第12期全国人民代表大会第4回会議で、「十三五(第13次五カ年計画:2016-2020)」の審査が行われている。GDPが10兆米ドルを上回る世界第2の経済大国であることを踏まえれば、「十三五」計画が世界に与える影響は空前の規模となるだろう。
「十三五」計画の戦略的意図、壮大な目標、主要課題、重大措置は、世界に少なくとも6つの影響を与えるはずだ。
【1】「より高いレベルのチャンス」を提供
中国が策定した新たな五カ年計画の姿が明らかになりつつある。GDPが10兆米ドル規模に達する中国は「質と効率の向上」を目指し、内需は急激に膨張、海外消費と投資力の増強も進んでいる。中国の新五カ年計画は、世界に「ソフト」と「ハード」を兼ね備え、質・量ともに重視する「システマティックなチャンス」を提供するだろう。
【2】イノベーション型の国家戦略
中国は10年前に、2020年までに「イノベーション型国家」を建設するという戦略目標を提起した。過去の教訓を踏まえ、中国は新たなIT革命と産業革命の潮流をリードしようとしている。2020年までに、基礎研究、応用研究、戦略的先端分野での飛躍的進歩を目指す。研究開発への経費投入率は2.5%、科学技術の経済成長に対する寄与率は60%に達し、イノベーション型国家、人材強国への道を邁進している。
【3】世界の経済地図を再形成
中国の2015年GDPは67兆7000億元と世界第2位を維持。2020年には93兆元超を目指す。現在の為替レートで換算すれば14兆米ドル超に相当し、世界で2番目にGDPが10兆米ドルの大台を突破する見込み。中国の経済効果が世界の経済地図の「再形成」に与える影響は、日本やドイツなどと比べると、一段と大きいとみられる。