中国大陸部の観光客の決済習慣に合わせ、台湾の銀行が決済サービス「微信支付」との事業提携を発表した。大陸部の観光客が台湾を旅行する際に、携帯電話で直接決済できる店舗が増えることになる。
中国信託銀行は主管部門よりO2O事業の取扱許可を得た。台湾を訪問する観光客は3月18日より、中国信託銀行と事業提携する店舗で、バーコードをスキャンすることで直接決済できる。台湾メディアの報道によると、現在2万店舗以上が微信支付に対応しているという。
中国信託銀行と微信支付の事業提携により、同サービスに対応する第1陣には、有名なコンビニチェーン、ドラッグストア、高級百貨店、台北市の人気観光街、旅行業品質保障協会に登録されている土産物店など、大陸部の観光客のショッピングの聖地が含まれる。また大陸部の観光客は微信(スマホ用インスタントメッセンジャー)の測位サービスにより、中国信託銀行と提携する店舗のセールに関する情報をリアルタイムで把握できる。台湾品質保障協会の旅行ショッピング保障制度により、大陸部の観光客の台湾におけるモバイル決済の安全性が保障される。消費者はショッピングを楽しみ、店側もビジネスチャンスをつかむことができ、ウィンウィンの目標が実現される。
2008年より両岸が台湾旅行を開通させてから、毎年100万人以上の大陸部の観光客が台湾を訪問し、1000億台湾ドルの観光収入を創出している。しかし大陸部の観光客は台湾訪問中、現金決済が中心となっている。銀聯カードの台湾における決済の統計データによると、現金引き出しが50%を占めている。台湾のオンライン第3者決済サービスは発展が遅れていることから、大陸部の観光客が慣れ親しんでいる携帯決済は台湾で使用できない。昨年5月に第3者決済サービスの特別法が発効すると、台湾の金融業者・非金融業者はようやく積極的に決済事業に乗り出し始めた。
中国信託銀行と微信支付の事業提携より先に、台湾の玉山銀行、元大銀行、華南銀行、第一銀行の4行がクロスボーダー決済事業の取り扱いを開始した。台湾メディアの情報によると、玉山銀行、元大銀行は決済サービス「支付宝」と、第一銀行、華南銀行は微信支付と事業提携している。また台新銀行も監督管理部門の許可を得て、支付宝と事業提携している。兆豊銀行も昨年末、決済サービス「財付通」と事業提携覚書に署名し、今後の事業展開に向け準備を進めている。
大陸部の観光客が台湾訪問中、クロスボーダー決済サービスを利用するという商機を目にした各銀行は、我先にとサービス対応を目指し、加盟店を広げようとしている。加盟店はすでに、衣食住や、旅行、エンタメなど各産業に跨っている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年3月19日