世界3大格付け会社の1つのフィッチ・レーティングスはこのほど発表した格付け報告書の中で、中国国債の信用格付けの見通しを「安定」で据え置くことを決定した。同報告書によれば、中国経済の成長ペースの低下が世界の投資家達を懸念させているが、中国経済に硬着陸が発生する可能性は低いという。またフィッチは、中国の擁する行政資源や金融資源を高く評価し、経済成長が今後2年以内に「破滅的なペース低下」に至ることは避けられるとし、今年と来年は6~6.5%の成長ペースを維持すると予測した。
フィッチは人民元について、バスケット通貨に対して目立った値下がりをすることはないとしている。同報告書は、人民元の大幅値下がりはリスクと代償をもたらし、グローバル経済にとって重大な-ダメージとなると指摘。こうしたリスクは中国に何らかの行動を取らせることになり、ひいてはグローバル市場の中で、特にアジア・太平洋地域の市場の中で、システム上の反転の圧力を生み出す。なぜなら中国には人民元がバスケット通貨に対して値下がりすることを回避する意志も手段もあるからだという。
またフィッチは、今年の中国は債務水準が引き続き上昇するとみられるが、中国は投資家を怯えさせる不確定性を問題なくやり過ごすことができると強調。長期的にみて、構造改革が極めて重要であり、中国は目下、製造業をよりどころにエネルギーを提供する成長モデルから消費をよりどころにエネルギーを提供する成長モデルへの転換を推進するために努力しているという。