AIIBへの懸念は依然として完全には消えていないが、事実は何よりも説得力がある。AIIBに対する懸念は、主に既存する世界銀行やADBといった多国間金融機関との競合問題に集中している。しかし、基本的な常識さえあれば、この疑念は解消される。世界のインフラ投資は毎年、1兆5000億米ドルにも上る不足が生じている。既存する多国間金融機関が提供できる融資はその10分の1にすぎない。
広大なインフラ投資需要に力を合わせて対応しようと、AIIBは12件の協調融資をめぐって世界銀行と交渉を進めており、ADBとの相補関係の構築も目指している。開放的かつ包容力のあるAIIBを、世界銀行やADBは受け入れようとしている。当初はAIIBに強い懸念を抱いていた米国の一部の人も、こうした動きを目の当たりにして、AIIBは「建設的で補完的な役割を果たせる」と認めざるを得なかった。