これは、全ての企業、特に製造業企業が堅持すべき基本的な成長の道のりだ。ファーウェイの任正非総裁はこのほど取材に対し、仮想経済を鍬、実体経済をトウモロコシに例えて「50~60本の鍬を使うだけなら、どうということはない。鍬を使ったら必ずトウモロコシを育て上げなければならない」と語った。実業の本分は、きちんとした製品を作り、より高い品質を目指し、新たなニーズを絶えずリードしていくこと。知的財産権、独自の製品、ブランドの評判がそろってこそ、その他のデリバティブサービスを発展させることができる。これは企業が安定的に発展するための元手となるだけでなく、近代国家繁栄のよりどころでもある。
実のところ、中国および東アジアの企業家たちはかつて、実業を心から愛していた。しかし現在、こうした「モノづくり」の精神は、米国の金融神話の誘惑に負けて薄まりつつある。「金が金を生む」という甘い誘惑により、米欧日などでは実業発展の原動力が日に日に弱まった。
中国にも、最も技術が不足していた時代、「冷蔵庫を壊す」勇気をもって製品のアップグレードを追い求めた企業があった。しかし株価が急上昇すると、一部の企業は利益を全て株式投資につぎ込み、国外メーカーのテレビの技術革新を黙って見ているだけになった。最も資金が不足していた時代には、自動車を売って研究開発に取り組む人もいた。しかし不動産価格が高騰すると、不動産投機に走る人が増え、工場さえも不動産物件に建て替えられてしまった。最も名声・評判が不足していた時代、多くの中国ブランドは製品の質と独自の特色を武器に台頭した。しかししばらくすると、多くのブランドは外資に売却されるか、悪質な価格競争に巻き込まれた。中国の実業が、強大化とモデルチェンジ・アップグレードのチャンスを逃したのは全て、「手っ取り早く金を稼ごうとした」ことが原因だ。もう二度と取り戻せないチャンスもある。
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