中国外貨取引センターが発表した最新データによると、人民元対米ドル為替レート(基準値)は25日に1ドル=6.5693元をつけ、前日の基準値(1ドル=6.5468)から225ポイントの元安となった。今年の元安記録を更新し、2011年3月ぶりの低水準となった。基準値ベースでは今年の元安記録を更新しているが、人民元スポットレートの元安を誘導しておらず、25日の終値は1ドル=6.5620元。国内外の人民元レートを比較すると、オフショア・オンショア市場の差は小さくなっている。
米連邦準備理事会の利上げ観測、ニューヨーク連銀の債務縮小の影響を受け、米ドル指数はニューヨークの24日の取引で95.6前後の高位を維持した。外国為替に詳しい韓会師氏は、「前日(24日)の人民元レートの終値は1ドル=6.5567とやや元安で、国際市場でドル高が生じている。そのため『通貨バスケット+終値を参考』とする人民元レート参考原則に基づくと、25日の人民元レート(基準値)が1ドル=6.5600以上となったことは、市場の予想に合致している。中央銀行が意図的に元安を誘導しているという噂があるが、現在の元安はドル高に対する人民元の正常な反応だ。基準値ベースの元安を起こしているのはドル高だ」と指摘した。
米ドル指数が高位で推移していることから、人民元レートに圧力がかかっている。人民元対米ドル為替レート(基準値)は5月25日現在、4月末比で1.7%の元安となっている。基準値ベースの元安により、元安が進行するという観測が広まっているが、市場では異なる見方もある。
韓氏は、「現在の市場を見ると、外貨決済はバランスが取れている。市場のムードに変動が生じているが、外貨購入に大幅な拡大は見られず、金融機関内でも大量の米ドル保有の原動力が欠けている。市場の各方面のバランスを受け、やや強めの元安が生じている。ドル高には限度があると判断した場合、投資家は人民元への両替に意欲的になる。これは現在の市場のバランスを打破し、さらなる元安に歯止めをかける可能性がある」と分析した。
中国銀行国際金融研究所の趙雪情研究員も、「2015年8月の為替レート改革、年初の市場恐慌とは異なり、今回の元安はほぼ市場の予想に合致している。元安は全体的に見て限定的で、コントロール可能な変動幅だ」と判断した。
韓氏は、「米連邦準備理事会が利上げを維持するか、債務縮小を続けるかは、米ドル指数が今年中に上昇を続けるかを決める重要な影響要因になる。より大きな情報による刺激がなければ、米ドル指数が上昇を続ける可能性は低い。人民元が短期間内に対米ドルで大幅な元高になることはないが、年初の1ドル=6.60ほどの元安が生じる可能性も低い」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年5月26日