富士康のような企業は中国経済に対して依然として重要なプラスの役割を発揮している。統計によると、2015年の河南省の輸出入金額は4600.2億元だったが、そのうち富士康の関連企業の占める割合は67.5%に達した。 中国電子情報業界が今年1月に発表したレポートによると、中国製造業の従来の優勢性が失われつつあり、外資企業は国外への移転を加速しているという。さらに「中国の人件費コストは東南アジアのその他の発展途上国よりも明らかに高い。2015年のベトナムの労働者の1ヶ月の平均賃金は149.9ドルに対して中国は325.6ドル。資金調達コストも高く、物流・電気・燃料コストも上昇している」と指摘する。
現在、サムスンはベトナム、富士康はインドで投資の重心を移し、金仁宝グループはパソコンなどの生産ラインをベトナムへ、パナソニックやシャープ、ダイキンなどの日本企業は生産能力を自国に回帰させている。 中国製造業の利益は圧迫され、工業投資は減少を続け、資本は非実業経済に向かっている。2015年上半期の中国の上場企業の利益の63%は金融業によるもので、製造業は大きく苦しめられている。 中国工業情報化部は「中国製造業は2つの圧力にさらされている。ひとつは先進国の再工業化・自国回帰の動き。もうひとは低コストの新興国に多国籍企業の資金が集まっていることである」との見方を示す。 こうした中国製造業の先行き不安に対し中国政府は「生産能力削減、レバレッジ解消、在庫圧縮、コスト削減、欠点補完」の政策を打ち出し、供給側改革を強力に進めている。これらは現状の実体経済の改善に役立ち、華為や富士康をはじめとする実体経済に新たな活路を提供することになろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年5月25日