米メディアによると、早期に中国市場に進出したアップル社はアジアと欧州でも決済サービスのプラットフォームを広めている。このシリコンバレーの大手企業は、さらに大きな市場を求めているのだ。というのは、中国市場で不調だからだ。それでも中国はアメリカ以外での主要なターゲット市場だ。中国でアップル社はソフトウェアとハードウェアで評判が高いものの、決済サービスは地元大手2社が巨大市場をしっかりと握っている。
米紙「フォーブス」のウェブサイトは6月14日付記事によると、アップル社が中国銀聯と提携し、中国のデビットカード所有者に対し、iPhoneとiPadで支払いができるようにした。アップルペイ担当のバイスプレジデント、ジェニファー・ベイリー氏は、同社の端末を販売する主要市場でアップルペイを拡げたいと考えている。
中国銀聯との提携はとても有意義なものだ。なぜなら232の中国の銀行がデビットカードを発行しており、ローカルのライバルはこの巨大なネットワークと連携していないからだ。iPhoneとiPadのユーザーは銀行のデビットカードを電子マネーの財布に入れて支払いをすることができる。今年の前半にアップルペイが中国市場に進出したとき、iPhoneの中国スマホ市場シェアは14%だった。しかしアリババのアリペイとテンセントのウィチャット・ペイは銀聯につながることなく迅速に発展した。両社はユーザーに深く根付いているからだ。
「楽観的な人は、アップル社は中国でブランド力が高いため、ハイエンドなユーザーがアップルペイを試すと考えている。しかしアリババやテンセントが大きな市場占有率を持つことを考えれば、アップル社にとっては大きな壁だ」とIDCアジア太平洋地域パーソナルシステム研究部のバイスプレジデントの馬伯遠氏は述べる。
ローカル大手2社が大量の支持者を獲得した理由は、カードを切れない小さな店でも支払いが可能にしたことだと、北京邁博瑞コンサルティングの社長であるマーク・ナトキン氏は述べる。同氏によると、これら小規模店舗の店主たちは顧客に店のアカウントをQRコードでスキャンするだけで支払いができるという。アップルペイが顧客を獲得したいのなら、より便利で安全なやり方を提供しなければならない。
「アップルペイが銀行カードで連携していることを、SNSメディア上で支持する中国人もいる。なぜなら、アリペイやウィチャット・ペイのようにアカウントを登録する必要がないからだ」と北京のエンジェル投資家であるダニー・レビンソン氏は言う。同氏はまた、もしこのような支持が増え続ければ、ローカル大手2社はアップル社を市場から追い出そうとするだろうと予測する。「もしアップルペイが今後、中国の競争相手の収益を脅かすようなら、アップル社は保護主義の障害に直面するだろう。ここではなんでも起こり得る。決済サービスの中国進出による高収益と、大きなリスクの2つを、アップル社はいま秤にかけているところだろう」。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年6月21日