米国司法省が先月28日に明らかにしたところによると、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)は排気ガス不正問題に関する和解合意を提出し、150億ドル(1ドルは約102.9円)を超える訴訟和解金(制裁金)を支払うことに同意した。対象車両の買い戻し、消費者への賠償、クリーンエネルギー技術の研究開発投資などに充てられるという。「工人日報」が伝えた。
VWは被告となった2件の訴訟において、100億3千万ドルと47億ドルの訴訟和解金を支払うことに同意。和解金は主にVWが米国で販売した、排ガス不正のための違法ソフトウェアが組み込まれた排気量2.0リットルのディーゼル車約47万5千台への対応に充てられ、オーナーに対して5100~1万ドルの賠償金が支払われる。
またVWは米環境保護庁(EPA)のグリーンエネルギー基金に27億ドルを拠出し、基準値を超えた排ガスによる影響の削減に取り組むほか、ガス排出ゼロ技術を支援する20億ドルの研究投資を行うことに同意した。同じ日にVWは米国44州、プエルトリコ、ワシントンの消費者や当局と6億ドル以上を支払うことで和解した。VWが支払う和解金は総額153億3千万ドルに達する見込みだ。和解プランは米国の環境保護当局と連邦裁判所の承認を受ける必要があり、最終的な裁定は今年10月に発表され、対象車の修理は早ければ11月にスタートする。
双方の取り決めにより、2019年6月までに、対象の2リットルディーゼル車の修理・買い戻しの達成率を85%以上としなければならず、達成できなければVWは厳重な処分を受けることになる。ロイター社の報道では、VWの今回の問題は米国の過去最大の自動車回収(リコール)案件であり、賠償金の額も過去最高の自動車業界の一大スキャンダルだという。米国メディアの分析によれば、米国市場では対象車の割合が小さく、不正問題の影響を最も強く被るのは欧州だ。VWが欧州で採用しているソリューションは対象車両を回収して修理するだけで、消費者への賠償金はない。こちらを手厚くしてあちらを手薄にするといった不公平なやり方では、欧州の消費者から不満が出てさらに賠償請求が起こる可能性があるという。
「人民網日本語版」2016年7月2日